ギターを挫折してしまうワケ
ギターは、今も昔もあらゆる世代にとって「憧れの楽器」の一つです。バンドで格好よく演奏しているギタリストを見たり、ギター一本でしっとりと歌い上げるアーティストの姿を見たり……。自分もあんな風になれたら、と夢見た経験がある方も多いことでしょう。
初心者用のギターは決して高いものではありませんから、「よし自分も独学でスタートしてみよう!」と考える方も少なくありません。しかし現実には、十分に弾ける前の段階で挫折してしまうケースも多いものです。
なぜ独学でのギター練習は挫折をしてしまうのか、その理由について解説します。理由から見えてくる「挫折しないための解決法」についてもチェックしてみましょう。
コードが弾けない
全くの初心者からギターを購入し、練習をスタートした場合、最初のハードルとなるのが「Fコード」です。
コードとは、ギターで奏でる和音のことを指します。自身が演奏するギターから美しい和音を奏でられたとき、「そう、これこれ!」と感動する初心者の方も多いことでしょう。しかしこのコードの中には、簡単に弾けるものもあれば、非常に難しいものもあります。
その中でも、非常に挫折率が高いと言われているのがFコードです。言葉にするとさらっと簡単に説明できてしまう指使いなのですが、実際に自分の指を使って実践しようとすると、非常に難しいことがわかります。きれいな和音にならないケースも多いことでしょう。
コードは、単に「一つ弾ければそれで良い」というわけではありません。実際にギター演奏曲を楽しもうと思ったときには、音楽の流れの中で次々と正しいコードを出していく必要があります。スムーズに指を使うためには「練習を積むことが一番」なのですが、自分一人で、いつできるようになるかもわからないコード練習に取り組むのは、決して簡単なことではありません。
指の形や長さには、人それぞれで個人差があります。教本を購入してきてその通りに実践しようと思っても、理想どおりにはいかないケースも多くあります。「どんなに頑張ってやってもできない!」となれば、モチベーションが低下するのは当然のことです。最初の情熱は薄れ、徐々にギターが「部屋のインテリア」になってしまう可能性も高いでしょう。
さて、こうした挫折を回避するためには、ギター教室に通うというのがオススメの方法です。ギター教室では、プロの指導のもとで「自分の指に合った形でのコードの押さえ方」を学ぶことができます。「どうしても難しい……」という場合には、短縮コードなどを教えてもらえる可能性もあり、挫折を回避できるでしょう。
自分一人では「できない」ことも、ギタースクールのプロの指導を受けることで上手に乗り越えられる可能性が高まるはずです。
チューニングが出来ない
コードと共に、初心者がギターに挫折してしまう理由として挙げられるのが、「チューニングができない」というものです。
チューニングは、ギターで美しい音を鳴り響かせるために必要な作業です。しかしあまり知識もない状態で「とにかくギターを購入して練習をスタートすればなんとかなるだろう!」と見切り発車で初めてしまった場合、チューニングに関する知識や適切な技術が身についていない可能性も高いです。
チューニングができなければ、ギターの音はどんどん狂ってしまいます。きちんとコードを押さえて和音を奏でているつもりなのに、なんとも言えない不協和音しか出ないとしたら……練習するのが嫌になってしまうのも当然のことだと言えるでしょう。
チューニングができない原因としてもっとも多いのが、「チューナーの使い方がわからない」というものです。
ギター演奏に慣れてきたら、チューナーを使わなくても自然とチューニングはできるようになります。しかし最初の内は、難しいと感じるのも当然のことだと言えるでしょう。
こちらの挫折を回避するための方法は、「便利なアイテムは積極的に活用する」というものです。近年は、スマートフォンで使えるチューナーアプリも人気を集めています。普段使用している身近なアイテムを使ってチューニングが可能であること、また使い方が簡単なことなどから、初心者でも扱いやすくなっています。
せっかく練習を始めたのに、チューニングで挫折……なんて、非常に残念な事態を防ぐことができます。
指先が痛い
もう一つ、ギターの挫折原因として、よく言われるのが「指先の痛み」です。ギターで美しい音を奏でるためには、正しく弦を押さえることが必要ですが、この弦は金属でできています。人間の柔らかい指先で押さえようとすれば、痛みが生じるのも無理はないことなのです。全くギターに触ったことがない状態から、「テレビでギター演奏するミュージシャンに憧れて練習をスタートした」といった場合、自分で音を出したときの感覚に驚く方も多いはずです。
プロのミュージシャンは、たくさんの練習を重ねてきていますから、ギター演奏にも慣れています。涼しい顔をして演奏をしていますが、初心者が真似をしようとすると想像以上に痛みを感じてしまうケースもある、というわけですね。
初心者にとっては、「弦で指先が切れてしまいそう」に感じるほどの痛みですが、残念ながら効果的な挫折回避法は存在しません。指先に豆を作りながらそれでも練習を重ね、徐々に慣れていくしかないでしょう。どうしても指が痛いときには、1日おきに練習をするのがオススメです。ギター演奏に慣れれば、指先の痛みはそれほど気にならなくなってきます。
指の痛みで挫折してしまうのを避けるために重要なのは、「いかにギター練習のモチベーションを維持していくか」ということです。
練習をスタートしたすぐの時期には、指先の痛みを感じながらも、必死で練習を続ける方がほとんどです。「痛み」よりも「ギターで音を奏でることの楽しさ」が勝っているのですね。しかし徐々に、こうした楽しさは少なくなってしまいます。蓄積された痛みを、より強く感じてしまうのでしょう。
一人で練習していると、モチベーションの維持は難しくなってしまいます。しかし一緒に練習に励む「仲間」がいれば、「この人には負けたくない。もっと上手になりたい」という気持ちも抱きやすくなるでしょう。一人で練習するのと比較して、音を合わせたりお互いに聞かせ合ったりと、ギター演奏の楽しみ方の幅も広がるはずです。こうした「向上心」や「楽しさ」こそが、指先の痛みを乗り越えるためのコツとなります。
身近にギター演奏を楽しむ仲間がいるときには、ぜひ一緒に頑張ってみてください。残念ながら見つからないという場合には、ギタースクールに通ってみるのも良いでしょう。ギターを学びたい人たちが集まる場所ですから、きっと刺激をもらえるはずです。
スクールが開催する発表会なども、練習のモチベーションのアップにつながります。
挫折を乗り越えるためのコツは、自分一人で頑張らないこと
ギター練習の基本は「個人練習」です。どんなに優れた指導者の元で学んでも、「自主練」をする意識がなければ上達は難しいでしょう。こうした特性を持つことから、「自分一人でも努力すれば大丈夫!」と感じ、独学でギター習得を目指す方も少なくありません。
しかし現実には、一人で全ての知識を身につけ、練習へのモチベーションを維持していくことは、決して簡単なことではありません。そんなことができるのは、「ごく一握りの特別な人」と言っても良いでしょう。
ギターを弾けるようになるためには、まず「挫折しないこと」が非常に重要なポイントとなります。そのためにも、「ギター教室に通う」という方法も視野に入れてみてください。ギターの指導者から適切な知識や技術を学ぶことができますし、また一緒に頑張るギター仲間を見つけられる可能性も高いです。
良い指導者や仲間と巡り合うことは、ギター演奏の世界をより一層楽しむためにも大切なことです。「ギタースクールは費用がかかるから……」と躊躇する方も多いですが、せっかく購入したギターを無駄にするのはもったいないことです。自分に合うギター教室を探し、挫折の原因を上手に取り除いた上で、毎日の練習に励んでみてはいかがでしょうか。きっと効率よく、成長していけることでしょう。