ピアノを弾くのに音感は必要?

趣味の世界を広げたい!と思ったときには、音楽の世界へと目を向ける方も多いことでしょう。
楽器に触れ、自分の手で音楽を奏でたときの達成感は格別なもの。
大人向けのスクールや教室も豊富ですから、自身の意欲さえあれば、即挑戦可能な点も嬉しいポイントですよね。
中でも「ピアノ」は、大人の習い事としても人気の教室となっています。

とはいえ大人になった今だからこそ、ピアノレッスンに対して不安を抱いてしまう可能性もあり。
特に多いのは、「今からでも本当に上達できるのだろうか」という不安です。
ピアノを弾くためには「音感」が重要だと言われていますが、なぜ音感が必要なのか、また、大人になってからでも音感を身につけることはできるのか疑問に思いませんか?
ピアノ習得と音感の関連性について、大人になった今だからこそ知っておきたいポイントをまとめます。

◆音感には二種類ある

音感には二種類ある

まずは音感の種類についてです。
ピアノを弾くために必要だと言われる音感には、以下の2つの種類が存在しています。

・絶対音感
・相対音感

絶対音感は、いわゆる「ピアノの神童」が身につけているようなイメージを抱く方も多いのかもしれません。
日常生活の中で、私たちはさまざまな「音」を耳にしますが、その音がどの音なのか、ヒントなしで即座に理解できる能力のことを言います。
インターホンから流れる何気ない音を音階で答えられたり、もっと言えば「ドアを閉めたときの音」や「調理中の包丁の音」まで、全てを「ド」や「レ」といった音階で答えられたりするのです。

一方で相対音感は、複数の音が聞こえたときに、「どちらの音の方が高いか」などの判断ができる能力のことを指しています。
また、最初に基準となる音を示された後であれば、それをヒントにして、その後の音程を答えることができます。

★ピアノに音感が必要な理由

ピアノを弾くときには、楽譜を見て、それと同じように鍵盤をたたくことで音楽を奏でていきます。
そのほかの楽器と比較すると、音を聞き分ける能力に当たる「音感」は、実はそれほど必要ではありません。

とはいえ、大人として楽しくピアノを続けていくためには、「自分の好きな曲を好きなように演奏する」ことが重要です。
「この曲が弾けたら良いのに……」なんて音楽が耳に入ってきたときに、音感さえあれば、それを耳で聞いて覚え、自分自身で演奏することも可能になります。
先生の演奏から、学ぶポイントも多くなるでしょう。

ピアノに音感が必要かと問われたら、「絶対に必要」というわけではありません。
とはいえ、あった方が便利なのは確かです。

また、

・大人になってからピアノをスタートしても、より本格的にレッスンに励みたい!
・音楽に携わる仕事をしたい!

という場合には、音感がさらに重要な意味を持つことがあります。
ピアノをほかの楽器と合わせて演奏したり、ピアノを使って作曲活動を行ったりする場合には、音感は絶対に必要なスキルと言えます。

活動の場を増やすためには、さまざまな場所で専門的な学習をすることになりますが、音感を頼りに音階を答える「聴音」のクラスが開講されるケースも少なくありません。
こうした意味でも、より本格的にピアノを学びたいと考えている方にとっては、「音感」は重要なキーワードだと言えます。

◆大人になってからでは絶対音感は身につかない

大人になってからでは絶対音感は身につかない

絶対音感と相対音感。
音感には2つの種類がありますが、「ピアノを弾くための音感」として、より便利なのは「絶対音感」の方です。
絶対音感を持っていれば、音を聞いただけで音階を答えられます。
ノーヒントで音をつかむことができますから、心強い能力だと言えるでしょう。

絶対音感と聞くと、「限られた人のみが先天的に身につけている能力」といったイメージを抱く方も多いのかもしれません。
確かに、先天的に絶対音感を身につけている方もいますが、子どもの頃のレッスンで、後天的に身につけた方も少なくありません。

幼児期の耳は非常に柔らかく、さまざまな音の情報を記憶しやすいと言われています。
この時期に、「絶対音感を身につけるためのトレーニング」を行うことで、絶対音感を習得することが可能です。
絶対音感は、一度身につけたら簡単に消えるものではありません。
大人になってからでも、幅広く活用することができます。

しかし一方で、大人になってからのトレーニングで絶対音感を身につけることは不可能だと言われています。
幼児期ならではの「耳の特性」があるからこそ、習得可能なスキルというわけですね。

★幼児期のトレーニングは継続的に

耳が良いとされる幼児期であっても、絶対音感を身につけるのは簡単ではありません。
特殊なトレーニングを続けて、少しずつ能力を高めていくことになります。

ピアノの基礎となる和音を記憶し、さらにそれぞれの音を聞き分ける能力を習得していきます。
毎日訓練を繰り返し、判別できる音域を徐々に広げていくことで、絶対音感を身につけられます。

幼児期の子どものトレーニングですから、当然周囲の大人のサポートが必須となります。
音楽指導に積極的に取り組むご家庭で取り組むケースもあれば、子ども向けのピアノスクールでレッスンが行われるケースもあります。

◆大人でも鍛えられる相対音感

大人でも鍛えられる相対音感

絶対音感は、子どもの頃にしか身につけられない能力ですが、相対音感は大人になってからも身につけたり成長させたりすることが可能だと言われています。

「大人になってから音感を伸ばしたい!」という場合には、絶対音感ではなく、こちらの相対音感を伸ばすことを検討してみると良いでしょう。
相対音感を身につければ、「ヒントとなる音を与えられれば、音階を当てる」ことができるようになります。
優れた相対音感を身につけることで、絶対音感にも劣らない能力を発揮できるようになります。

★相対音感を伸ばすためのトレーニング法とは?

では相対音感を伸ばすためには、具体的にどのようなトレーニングを行うべきなのでしょうか。
いくつかの方法を組み合わせて行うのがオススメです。

・移動ド唱法を用いる
・調を変えて演奏してみる
・階名で繰り返し歌ってみる

移動ド唱法は、曲の調を変えても主音をドと認識して、音感を育てるためのトレーニング法となります。
実際に自分で、調を変えて演奏してみるのも良いでしょう。
普段の音との違いを認識できます。
「まだ難しい曲はちょっと……」という場合には、「かえるのうた」などの簡単な曲で充分です。
まずは「調を変える」という作業を行い、演奏を楽しむ気持ちで取り組んでみると良いでしょう。

また「楽譜を見ながら歌う」というのもオススメの方法です。
もし可能であれば、階名で歌ってみてください。
やはりこちらも、音階を意識するきっかけになります。

最後に、相対音感のトレーニングは、「1日にまとめ数時間」行うよりも、「毎日コツコツと継続的に」行った方が効果的だと言われています。
ピアノの上達にも毎日のレッスンは欠かせませんから、音感を鍛えるためのステップも練習時間に組み込むことで、より幅広いスキルを習得できるでしょう。

◆まとめ

絶対音感は確かに便利な能力です。 気になる音楽を見つけたときでも、瞬時に耳コピして楽しむことができるでしょう。
とはいえ、身につけられる時期に制限があること、そして実際に身につけるためには特殊なトレーニングを行わなければならないことから、「すでに大人になっており、これから音楽を学ぶ方」にとっては、あまり現実的ではありません。

とはいえ、実際にピアノの演奏を楽しむ際に、「絶対音感」が求められる場面はほとんどありません。
耳コピを楽しみたいときでも、他者とのアンサンブルを楽しみたいときでも、相対音感があれば対応できます。
逆に、相対音感を身につけておかないと、困ってしまうような場面も出てくるかもしれません。

相対音感は、大人になってから身につけることも、一度身につけた能力をさらに伸ばしていくことも可能です。
まさに「自分次第」というわけですね。
毎日少しずつ訓練をするのがオススメですが、ピアノ教室のレッスンで訓練のヒントをもらうのがベストです。
先生のもとで基礎を教わり、後は自分自身で反復練習を行うことで、確実なスキルアップを目指せます。

大人になってからのピアノスクール選びやピアノ講師選びでは、このようなポイントも重視してみてはいかがでしょうか。

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