ピアノが上達する人の特徴
子どもの習い事として人気の高いピアノですが、残念ながら「子どもの頃には縁がなかった」という方もいるでしょう。また子どもの頃に一時期だけ習っていたものの、挫折してしまった……なんてケースもあるのかもしれませんね。
大人になってから「やっぱりピアノを弾けるようになりたい!」と願う方は、決して少なくありません。そしてこうした方々を対象に開講されているのが、大人向けのピアノスクールとなります。
とはいえ、「スクールに通ったからもう安心!」というわけではなく、大人がそれなりに上達するためには、やはり「自分自身の努力」が必要となります。どのような方面で努力をすると伸びやすくなるのか、「大人になってからピアノをスタートし、上達しやすい人」の特徴を3つ紹介します。
言われたことを素直に実践できる
ピアノレッスンが子どもに人気なのは、この世代の子どもたちは非常に高い吸収力を備えているためです。ピアノの先生から「○○しましょう」と声を掛けられれば、その通りに素直に応じる子どもも多いことでしょう。
実はこれこそが、上達の近道だと言えます。
ピアノを上手に弾けるようになるためには、レッスン時間中の練習だけでは足りません。むしろレッスン中は、「前回のレッスンから今日まで、自宅で練習してきたことをチェックする日」だと言えるでしょう。
ピアノレッスンの最後には、講師から「次回まで○○をできるようになってきてください」と課題を出されるケースも少なくありません。
子どもの頃は素直な気持ちで応じていたことも、大人になると難しいケースが少なくありません。特に初心者の時期には、基礎的な練習も多いですから、「できることを繰り返しても意味がない!」なんて思い、練習を放棄してしまうようなケースもあるのかもしれません。
ピアノ講師は「課題」を出して次のレッスンまでの道しるべを作っていきますが、実際にその課題に真剣に取り組んでくれる人は1~2割だとも言われています。
次のレッスンまで何もやらない方もいれば、数回ピアノに触れただけで「できたつもりになっている」なんて方もいます。残念ながらこれらの場合、次のレッスンのときに講師が求める水準に達していないケースも多いもの。次のステップへと移れなくなり、貴重なレッスンの時間も無駄になってしまいます。
もちろん「課題に対して素直な気持ちで、まっすぐに取り組んでみたけれどできなかった」というのであれば、それはそれで良いのです。
素直な気持ちを持って真摯な気持ちで一定期間取り組んでいれば、「ここがどうしてもうまくできない」「あとはここだけがクリアできない」なんて、自分なりの不安点やハードルが見えているはずです。
この場合は、その素直な疑問を次のレッスンで講師にぶつけてみてください。がんばってもできないところをどうすればできるようになるのか、講師からアドバイスを受けた上で一段上のレベルを目指していけます。
また大人になると、「褒め言葉を素直に受け止められない人」も多くなってきます。真剣に練習し、徐々に上達が認められるようになれば、講師から褒め言葉を掛けられるようなケースもあるでしょう。
特に「自分の理想」をしっかりと持っている方に多いのですが、「まだまだ全然弾けていません……」なんて謙遜しているタイプの方は、自分の成長度に目を向けることが難しくなってしまいます。
いつもレッスンを担当してくれている講師が自分のピアノを褒めてくれたら、それは当然喜んでも良いところです。「やった!」と素直に喜ぶことで、次の練習へのモチベーションも生まれてくるはずです。
短い時間でも練習している
「ピアノの練習」と聞くと、「長ければ長い方が良い!」と考えている方も多いのではないでしょうか。特にレッスンをスタートした頃には、「毎日必ず1時間は練習する!」なんて高い目標を掲げる方もいます。
もちろんこの目標が達成できれば、非常に素晴らしいこと。ピアノの腕前もぐんぐんと成長していくことでしょう。
しかし実際には、「毎日欠かさず1時間」は非常にハードルが高い目標です。「ピアノ」を「ジョギング」や「筋トレ」へと置き換えてみるとわかりやすいかもしれませんが、「正直今日は面倒だな」「休みたいな」なんて思うときもありますよね。
ピアノが上達しやすい人は、最初からこのような盛大な目標を掲げることはしません。その代わりに、「1日5~10分だけでも良いから、ピアノに触れて練習する」という練習スタイルをとっています。
講師から与えられた課題があれば、それを「1日に1度だけ通して練習してみる」だけでも上達度は大きく変わってきます。1度練習してみて、「ここができない」と思ったら、そこだけを繰り返してみるのもオススメです。
「5分のつもりでスタートしたら、いつの間にか夢中になっていて、あっという間に1時間が経過してしまった!」なんて方は、ぐんぐんと力をつけていきます。「練習時間」ではなく、「練習内容」や「自身の課題を一つずつクリアしていくこと」を目標としているからです。
「眠いな。本当はテレビを見たいな」なんて思いながらピアノの前に座り続ける1時間は、ただただ苦痛なもの。練習へのモチベーションをどんどん下げてしまします。
ピアノの上達のために「毎日コツコツ練習すること」は欠かせないポイントでもあります。まずは生活の中に、「ピアノを弾く」ための仕組みを整えてみてください。毎日の5~10分の習慣が、自分自身を成長させるための鍵となります。
練習過程を楽しめる
ピアノの練習は、コツコツと行うことが重要ですが、「いつも同じ課題ばかりをやっていると飽きてしまう!」なんてケースもあるのかもしれませんね。練習に飽きてしまうと、たとえ短時間の練習であっても苦痛に感じてしまうことがあります。
ピアノの上達が早い人は、こんなときの気持ちの切り替え方が非常に上手です。練習過程そのものを、楽しみながらこなしていきます。
たとえば、「ダイエット」に置き換えてみましょう。自分が理想とするスタイルになるため、「こうするしかないから」という理由で嫌々ジムに通う方と、「通い始めてみたら、体を動かすことが意外と楽しい!」と喜んで通う方がいるとします。
どちらの方が目標達成できる可能性が高いのかと問われたら、やはり後者の方でしょう。目標を達成する前の段階から「楽しみ」を持って物事に取り組める人は、いつの間にか当初の目標を超えていることも多いのですね。
こうしたタイプの方の最大の強みは、「練習過程にストレスを抱かないこと」です。ピアノの練習の楽しみ方は人それぞれで、ほかの人には理解されないポイントも多いはず。そのような中でも「自分なりの楽しみ」を見つけることができれば、練習の質も大きく変わってくるでしょう。
素直な心を持ち、コツコツ練習を続けることが上達への鍵
ピアノの上達には、残念ながら「近道」はありません。優れた講師の元で学べば一気に弾けるようになる……なんてことはなく、最終的には自分自身のレッスンの受け入れ方や自主練習が上達のカギとなるでしょう。
大人よりも子どもたちの方が、上達が早いと言われるのは、「素直な心」を持っているからです。講師のアドバイスを真摯に受け止め、そしてそれを繰り返し練習していくことで、どんどん上達していきます。
大人の場合には、これまでの経験や大人としてのプライドがありますから、どうしても素直に受け入れにくくなってしまいます。また子どもとは違い、「両親」の立場で自分を律してくれる人もいません。だからこそ、上達のためには自分自身で「素直さ」を調整する必要があるのですね。
またもちろん、素直にレッスン内容を受け入れられるかどうかには、講師と生徒の人間的相性も大きく関わっています。多数のピアノ講師の中から、「この人の言うことだったら素直に受け入れられる!」と思える講師を選ぶこともコツだと言えるでしょう。相性が良い講師の元でなら、自分の意図も伝えやすくなります。練習やレッスンに対して、ストレスを抱くような場面も少なくなるはずです。